前回の記事で、人間には、一貫性の原理という行動原理が、本能のレベルで根深くしみついている、という話をしました。

一貫性の原理/法則とは?

一貫性の原理とは、

「人は自分の行動を一貫させたがる性質がある」

という法則です。

人は一度、自分の意思で何かを始めたら、それ以後は、一貫した行動を取らなければ、気が済まなくなるものです。

人間のこの性質は、
ビジネスに活用(悪用?)されています。

それでは、ビジネスへの応用例を
2つほど見ていきましょう。

自動車ディーラーの一貫性の原理を利用した手口

たとえば、アメリカのある自動車ディーラーの話。

ある顧客が来店したときに、その担当者は、相場よりもだいぶ安い価格で見積もりを出しました。

「安い!」と思った顧客は、
喜んで契約することに同意します。

ところが、ここで問題が起きます。

担当者が上司に書類を見せたところ、その値段では赤字になる、計算間違いだ、と指摘されてしまいます。

困った担当者は、

「これじゃダメだと言われました。こちらが正しい見積もりになります」

と、訂正後の相場相応の価格を提示してきました。

せっかく安く買えそうだったのに、惜しいところで「待った」が掛かってしまいました。

では、それで顧客が「じゃあ、やめときます」となったでしょうか。

そうはなりませんでした。

最初の提示額よりは上がってしまいましたが、それでも、もともとの相場の価格なので、顧客は別に損をしているわけではありません。

「まあ、買うと決めたし、もともとそのくらいの価格が本当だから、それでいいか」

と、結局買うことを決断します。

種明かし

ここで顧客は、見事にディーラーの術中にはまったことになります。

実は、この担当者は、わざと計算間違いをして、安く見積もりを出してしまったふりをしていたのでした。

上司の方もそれを知っていて、担当者に合わせた演技をしていたのです。

彼らは初めから、ディスカウントするつもりは毛頭なく、相場の価格で売るつもりだったのです。

しかし、他のライバル店並みの価格では売りにくいからと、最初にあえて安い価格を提示したわけです。

それから、芝居を打って、元の価格に戻した上で、改めて売りつけようとしたわけです。

顧客にとっては、結局もとの値段に戻ったわけで、特に今、わざわざその店で買う理由は、なくなってしまったはずです。

「じゃあいらないや」と断って、
他の店に当たることだってできたのです。

でも、そうしなかった。

それが、「一貫性の原理」の力だったわけです。

一度乗りかかった船からは、
人はそう簡単には降りられない
のです。

一貫性の原理が顧客にどう作用したのか?

一貫性の原理が働くためには、「自分の意思で行動を起こす」ことが必要条件でした。

他人から強制されたことは、人は続けようとは思いません。

なので、「その人本人の意思で動いてもらう」ということが、どうしても必要になります。

この例では、とにかく顧客自身の意思で首を縦に振ってもらう、ということが必要でした。

逆に、とにかく一度首を縦に振ってもらいさえすれば、後はどうとでもなる、と踏んでいたのでした。

これが、もし最初から相場並みの価格を提示していたら、その顧客は最初から買うつもりなど全く起きなかったかもしれません。

そのため、とにかく「購入を決断する」という「コミットメント」を顧客から引き出しさえすれば、ほとんど契約は取れたも同然だった、というわけです。

顧客の方も、一度「買う」という「コミットメント」を表明したこにより、意識は買う方へ大きく傾いています。

一度回りだした歯車は止まりません。

理屈ではなく、「一貫性の原理」という、本能的な行動原理に、半ば自動的にしたがっているまでのことです。

なので、最初の安い価格だろうが、「訂正後」の相場価格だろうが、その意思決定がくつがえることはありませんでした。

このようにして、ディーラーは、見事?ディスカウントも特典もなしで、商品を買わせることに成功したのでした。

一貫性の原理のネットビジネスへの応用

これは、ちょっとキワドイ例でしたが、似たような発想で、一貫性の原理をネットビジネスにも応用することができます。

たとえばメルマガ。

メルマガは、発行者から購読者に一方的に流すだけではなく、双方向的なコミュニケーションに特長があります。

これを利用して、たとえば、購読者にアンケートに答えてもらったり、ご意見・ご感想を募ったりします。

そうすることで、購読者の「参加者意識」が高まってきます。

購読者の「コミットメント」を引き出しているわけです。

ちょっとずつ、ささいな「お願い」を聞いてもらう。

それを続けることで、購読者は、メルマガで何かを提案されたら、自然にそれに乗るようになっていきます。

すると、最終的には、紹介する商品も購入してもらいやすくなるわけです。

この一貫性の原理、くどいようですが、悪用は厳禁です。

客を幸せにしないビジネスでは、自分も幸せになれません。

メルマガでこのような方法を使うにしても、最終的に、この商品を買ってもらうことで、自分も相手もお互いに利益になる。

そう確信できる商品だけをオファーしなければなりません。

心からそう確信できない商品は、
紹介すべきではないということです。

以上、一貫性の原理の実例と応用についてでした。

次回は、もう一つの心理学的法則、「返報性の原理」についてです。

>>返報性の原理~恩は返さないと気が済まない

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