ビジネスにおいて、「好意」という感情が
人を動かす力はとても大きいです。

好意を持った相手の言うことならば、無批判に受け入れてしまう傾向が人にはあります。

その結果、本来であれば望むはずのない行動を、知らず知らずのうちに取らされてしまう。

そういう経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか。

私たちがビジネスを行うに当たって、この「好意」の力を上手に利用していくことは、とても重要です。

一方で、私たちが消費者になるときには、常にこの「好意」の力を警戒しなくてはなりません。

相手の術中に見事にはまって、損な取引へと誘導されてしまうことを、避けなければならないからです。

というわけで、今回は、その「好意」という感情が及ぼす影響、その要因について見ていきたいと思います。

好意の5つの要因

「好意」という感情を持ってしまうには、
次の5つの要因があると言われています。

  1. 身体的魅力(ハロー効果)
  2. 類似性
  3. 称賛
  4. 接触
  5. 連合

分かりやすく書き直すと、次のようになります。

  1. 相手のルックスがいい
  2. 自分に似ている
  3. 自分をほめてくれる
  4. 触れ合う機会が多い
  5. 好ましい物事と何らかのつながりがある

こういった人や物に対して、好意を抱くようになる、ということです。

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

1.身体的魅力(ハロー効果)

人はルックスのよい人間を、無条件で、実際よりも優れた人物とみなしてしまう傾向があります。

これをハロー効果といいます。

ハローとは、宗教画の聖人や仏像の後ろに差している、いわゆる「後光」のことです。

ルックスがいいと後光が差して見える、ということです。

ルックスがよいというだけで、その人の性格や知性や学歴や職歴などを、実際以上に高く見積もってしまうのです。

外見が美しいというのは、それだけで多くの人に好意を持たれます。

人は、好意を持ったものに対しては、無条件で高い評価を下します。

それがこのハロー効果をもたらしている、ということです。

ネットビジネスでは、実際に対面することはほとんどないので、特に気にしなくてよい項目ではあります。

しかし、リアルビジネスや実生活において、無視できない要素であることは、言うまでもありません。

2.類似性

類似性とは、要するに

「人は自分に似た人を好きになりやすい」

ということです。

これは分かりやすいですよね。

性格や価値観や育ちが似ている人どうしの方が、仲良くなったり、恋に落ちたりしやすいですからね。

また、この類似性は、
社会的証明の力の要因でもありました。

社会的証明とは

ビジネスへの応用としては、セールスマンが、とにかく顧客と自分との共通点を、見つけ出そうとします。

性格や価値観といった、
人格的な類似じゃなくてもいいです。

趣味だとか、出身地だとか、
好きなプロ野球チームだとか。

どんなささいなことでも共通項を見つけられれば、それだけで「好意」につなげていくことができます。

そして、たったそれだけのことで、成約率を格段に上げることができるわけです。

3.称賛

「人は、自分のことをほめてくれる人のことを好きになる」

ということです。

要するに、「人はお世辞に弱い」ということですね。

露骨なおべっか使いは嫌かもしれませんが、率直な称賛を与えてくれる人を嫌いになる人はいません。

しかも、たとえその称賛の内容が正しくなかったとしても、やはり好意を持ってしまいます。

内容が問題ではないということです。

とにかくほめてくれた、という事実が重要なわけです。

このことから分かることがあります。

つまり、人は称賛されて気分がよくなると、理性が働かなくなる、ということです。

他人の言うことに論理的な矛盾がないか、ちゃんとした根拠があるか、常に冷静に見ている人がいます。

言葉を変えると、人の言葉の「揚げ足取り」や「あらさがし」が上手な人ですね。

そんな人でも、自分がもっともらしく称賛されたときに限っては、なぜかその内容をあまり疑わなくなります。

つまり、いつもはフル回転しているはずの注意力や論理性が、そのときばかりは停止してしまうのです。

それほど人間は、「他人からほめられたい」と常に思っている生き物だということです。

4.接触

これは、「人は会う機会の多い人を好きになりやすい」ということです。

好意を得ようと思えば、会う回数を増やせばいいわけです。

「単純接触効果」という言葉は、わりと有名ですよね。

恋愛や友人関係のテクニックなんかでも、
よく言われていることです。

これは、人間に限らず、物についても当てはまります。

要は「馴染むほど好きになる」わけですね。

ただし、これには条件があって、

「プラスの状況で会う」

ことが必要です。

マイナスの状況、つまりいがみ合っている状況のときなどは、何度接触しても互いに好意を持つことはありません。

たとえば、別居中の冷え切った仲の夫婦が、一つ屋根の下に暮らしても、それでお互いが好意を持つことにはつながりません。

むしろ、顔を見ればケンカばかりしてしまうでしょう。

つまり、この「接触」の効果が発揮されるためには、少なくともゼロかプラスの関係でスタートしなければなりません。

マイナスからのスタートでは、
プラスに転じることは普通ありません。

マイナスの関係から始めてプラスに転じるためには、別に「協同」という条件が必要になります。

つまり、

一致団結して何らかの問題や困難に協力して立ち向かう

という経験です。

冷え切った仲の夫婦でも、もし何らかの共通の困難に遭遇し、それを2人で協力して解決せざるを得ない状況になれば、それをきっかけに、関係を修復できるかもしれません。

つまり、倒すべき共通の敵だとか問題だとかを与えれば、仲の悪い者同士を仲良くさせることもできる、ということです。

5.連合

連合とは、

「人は好ましい物事と、何らかのつながりのあるものを好む」

という性質です。

好感度の高い芸能人をCMに起用するのは、まさにこの「連合」の効果を見込んだものです。

自分の好きなタレントがその商品のCMに出ていれば、それだけで、その商品を好ましいものと思ってしまうわけです。

実際にその商品が優れたものなのか、実際にそのタレントがその商品を使用しているのかは、一切関係ありません。

とにかく、好ましい物や人と、何でもよいからつながりを持たせれば十分です。

そうすれば、人々はその商品までも、勝手に好ましく思ってくれます。

実は私たちは、このような「連合」の効果を、無意識のうちに理解しています。

そのため、本来自分とは無関係であっても、それが好ましい人や物であれば、都合のいいように自分と同一視したがります。

たとえば「郷土の偉人」を
誇りたがるメンタリティがそうです。

その偉人と自分との共通点は、出身地だけです。

他に共通点はありません。

にもかかわらず、自分とその偉人を同一視して、その業績をまるで自分の手柄であるかのように語りたがります。

他には、スポーツ。

日本代表のチームや選手が勝つと、
自分が勝ったかのように喜びます。

「我々の勝利だ!」

でも実際に試合をしたのは、
その選手であって、その人ではありません。

選手とその人の共通点は、
日本国籍を持つことだけです。

にもかかわらず、自分がそのチームの一員として戦ったかのような顔をして、勝利を喜びます。

そのくせ、その選手やチームが惨敗してしまうと、

彼らは意志の疎通に問題があった」

彼女は金メダルのプレッシャーに潰された」

といった具合に、他人事のように語ります。

決して、「我々は負けてしまった!」なんて言い方はしません。

連合の意識は驚くほど根深い

このように、人は無意識のうちに、少しでも関係のある物同士を同一視してしまいます。

それが好ましい人や物であれば、無理矢理にでもこじつけて、自分自身と同一視しようとします。

逆に自分にとって都合の悪いものであれば、ことさらに自分と相手を切り離そうと努めます。

しかし、それも「連合」の意識の根強さのゆえです。

ところで、この間あるニュース番組を見ていたのですが、天気予報のコーナーで、

「○○さん(予報士の名前)、台風の進路をそらして下さいよ!」

だったか、

「○○さん、気温を下げてくださいよ!」

だったか忘れましたが、そんなツイートが画面に表示されていました。

これも「連合」による同一視が働いたものと言えます。

気象予報士は、台風の進路だとか、予想最高気温だとかを予報しているだけです。

天候を変える力など、あるはずがありません。

しかし、「連合」による一種の拡大解釈で、それを操作できると錯覚してしまっているわけですね。

まあ、このツイートは冗談でしょうけどね。

でも、このツイートをした人は少なくとも、本来無関係なはずの、「気象予報士という人間」と「天候という自然現象」を連合させてしまっていることに変わりはありません。

住居のトラブルをその物件の管理会社に訴えるのとは、本質的に全然違うものです。

日本ではどうか知りませんが、アメリカの方では、テレビでハリケーン襲来などを予報すると、その気象予報士にクレームの電話が大量にかかってくる(!)らしいです。

あまりにも非合理で、馬鹿げていますが、多くの人間が知らず知らずのうちに、このような「連合」を行ってしまっているわけです。

まとめ

以上、好意の持つ力と、好意の5要因について見てきました。

  1. 身体的魅力(ハロー効果)
  2. 類似性
  3. 称賛
  4. 接触
  5. 連合

分かりやすく書き直すと、

  1. 相手のルックスがいい
  2. 自分に似ている
  3. 自分をほめてくれる
  4. 触れ合う機会が多い
  5. 好ましい物事と何らかのつながりがある

こういった人や物に対して、好意を抱くようになる、ということでした。

これらの意識はとても強力で、ほとんど条件反射的なレベルでしみついています。

次は、この「好意の力」のネットビジネスへの応用と、この力に抵抗するための考え方について、順に紹介したいと思います。

(ネットビジネス、アフィリエイトでは、特に2と4の要因が重要です。)

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